高血圧の遺伝子的要因について

血圧の正常値は、WHO(世界保健機関)などが定めた「上(収縮期)が140mmHg以下、下(拡張期)が90mmHg以下」という基準値が世界的に広く用いられています。ただし年齢や合併症によって正常値とされる値は異なっており、若年・中年から前期高齢者までは上が140mmHgで下が90mmHgですが、後期高齢者では上が150mmHgで下が90mmHg、糖尿病やCKDの患者では上が130mmHgで下が80mmHg、などとなっています。また、病院で測る場合は緊張感などから通常より高い値を示すことがあるため、家庭で測定する場合にはそれぞれの数値から5をマイナスしたものが正常値とされています。つまり前期高齢者までの人なら、家で測ったときに上が135mmHgで下が85mmHg以下であれば正常値、ということになるわけです。
高血圧は、その原因によって一次性と二次性に分類されます。二次性は原因となる疾患が明らかに存在するもので、その疾患を特定し、治療することで改善が可能となるものです。一方、一時性は本態性とも呼ばれ、原因となる疾患が存在しないもので、実はこちらが全体の実に90%以上を占めています。
ただし高血圧の原因は不明ですが要因は明らかになっています。塩分の取りすぎや、加齢による血管の老化、運動不足や肥満、過労やストレスなどがその要因といわれています。したがって、これらの要因を取り除くことで予防が可能となります。特に塩分の摂取を控えることは重要です。塩分すなわちナトリウムを取りすぎると、血中の塩分濃度が上がらないようにと血液中に水分を多く取り込むため、血液の量が増えて、その結果血圧が上がってしまうのです。
原因不明といわれる一次性高血圧ですが、遺伝子が関係していることはすでにわかっています。両親ともに高血圧の場合、子供がその素因を持つ可能性は2分の1、両親の片方であれば3分の1、両親のいずれも該当しない場合は20分の1になるといわれています。そのため、両親の両方もしくはいずれかが該当している場合は、本人も発症する危険性が高いと心得て、普段から危険因子を取り除くよう心がけておく必要があります。遺伝子検査を行うことでも発症リスクを知ることができます。もちろん、遺伝子検査でリスクが高いという結果が出たからといって、必ず発症するとは限りませんが、予防対策を行っておくに越したことはないので、気になる人は一度遺伝子検査を受けておくとよいでしょう。